
こんにちは、もあです。
今日は、「企業で薬事として働いていたけど、なんだか違和感がある…」「調剤薬局って今さらアリ?」と悩んでいる方向けに、私自身のキャリアの転換ストーリーをお話しします。
というのも、私は外資系医療機器メーカーで薬事をしていましたが、今は調剤薬局で薬剤師として働いています。
はたから見れば、「もったいない」「逆戻りじゃない?」と言われるような転職かもしれません。でも、結果的に心から納得できるキャリアになったと実感しています。
なぜ薬事をやめたのか?【結論:評価と人間関係に心が削られた】

「年収も高いし、安定してるし、何が不満だったの?」
そう聞かれることがあります。
正直、薬事の仕事そのものは嫌いじゃありませんでした。
やりがいもあったし、誇れる仕事だったと思います。
でも、私が辞めた一番の理由は──
「評価制度」と「人間関係」がしんどすぎたからです。
外資系の評価制度は、“見える成果”がすべて
私は外資系の医療機器メーカーで薬事をしていました。
評価制度は完全成果主義。
数字で見えない仕事は、評価されにくい世界です。
たとえば:
- 承認までの社内調整や根回し
- 想定されるリスクを事前につぶす仕事
- チームメンバーのミスを防いだ貢献
こういった「見えない努力」は、ほとんど加点されません。
一方で、「運よく当局対応がスムーズに通った人」が高評価されることもありました。
「これ、努力より運じゃない?」
「自分のやってることって、結局評価されないのかな…」
そう思い始めると、どんどんモチベーションが下がっていきました。
外資=フラットで自由?…実際は「蹴落とし文化」に疲れた
よく「外資は風通しがいい」とか「年功序列がなくて働きやすい」って言われます。
たしかに、意見は言いやすいし、無駄な上下関係も少ないです。
でも、だからこそ、“成果”に対するプレッシャーがむき出しなんですよね。
たとえば、私がいたチームでは──
- 他人のミスをすかさず指摘して上司に報告
- 社内会議で、自分の貢献を強調するために他人を軽くディスる
- チームで協力すべき案件でも、誰が“成果を取ったか”ばかり意識される
そういう「蹴落とし合い」のような空気が日常的にありました。
もちろん、みんながギスギスしてたわけではないです。
でも、どこか「信用しきれない感じ」や「一人で成果を守らないと評価されない」空気感が常にありました。
職場は和やか。でも内心ピリつく。
「職場にいるだけで緊張してる自分」に気づいたとき、「あ、これは長く続けられないかも」と思いました。
心の中で、「ここで人間らしく働ける自信がない」と感じていた
薬事の仕事って、本来は社内外の調整や、リスクヘッジなど“見えない貢献”もすごく多いです。
でもその“見えない努力”が軽視されて、表面上の成果で人がジャッジされていくのを何度も見ました。
そのうち、自分も「評価されるための動き」をしないといけないような気がしてきて、心が苦しくなっていったんです。
「本当にこんな働き方が、自分に合っているんだろうか?」
「ずっと戦い続けるような職場で、あと何年がんばれるんだろうか?」
そう考えたとき、自分の“心の健康”の方が大事だなと思いました。
結論:キャリアよりも、“自分をすり減らさない働き方”を選びたかった
外資薬事という肩書きは、たしかに誇れるものかもしれません。
でもその裏で、私は「自分を守ること」に必死だった気がします。
- 成果主義の中で疲弊していた
- 人との距離を詰めすぎても裏切られるかも…と感じていた
- 常に誰かに勝たなきゃいけない空気に疲れきっていた
そうやって少しずつ、「私らしさ」や「自分のペースで働く感覚」を失っていたんですよね。
だから私は、「安心して人間らしく働ける環境」を選びました。
それが、調剤薬局という選択でした。
調剤薬局を選んだ理由【意外とアリだった】

「どうせ辞めるなら全然違うことをしよう」と思ったわけではありません。
でもふと、「原点に戻ろうかな」と思ったんです。
私にとっての原点は、患者さんの顔が見える現場。
調剤薬局って、「楽」とか「つまらない」とか、いろんなイメージがあるけど、実際に働いてみたらやりがいと充実感が想像以上でした。
- 目の前の患者さんの生活に直結するアドバイスができる
- 自分の判断や声かけで、笑顔が返ってくる
- 地域医療の一端を担っている感覚がある
これは、企業薬事ではなかなか味わえなかったものでした。
企業で働いていたときは、「人と接する時間がない」のが当たり前でした。
メール、会議、資料作成…。
全部、誰かに“見せるため”の仕事だったんですよね。
でも今は、目の前の患者さんに言葉をかけて、直接感謝される。
それだけで、「今日も仕事してよかったな」って思えるようになりました。
年収は下がったけど、心は豊かになった
たしかに、年収は企業時代に比べて100万円以上落ちました。
でも、代わりに得たものがたくさんあります。
- 夜中にメールの返信をしなくていい
- 上司の顔色をうかがってピリつく必要がない
- 家族と夕食を一緒にとれる
- 休日に仕事のことを考えなくて済む
ぶっちゃけ、「年収の高さ=幸福度」ではないです。
自分が大事にしたいものが何かに気づけた今のほうが、ずっと豊かに感じています。
もうひとつの気づき:「薬事で得たスキルは無駄じゃない」
実は、調剤薬局で働き始めてからも、企業時代に培った経験が生きています。
たとえば:
これって、患者さんへの説明や、薬局の運営面でも役に立つんですよね。
つまり、「企業を辞めても、スキルは残る」んです。
キャリアって、ちゃんと積み上がっていくものだなと実感しています。
今後は、自分のペースで“地域に根ざした薬剤師”として働きたい

薬事を辞めて、調剤薬局に転職してから思ったのは、
「もっと自分の軸で、無理なく働きたい」ということ。
出世とかキャリアアップを追いかけるよりも、
“今の自分に合ったやりがい”を大切にしたくなったんです。
漢方・薬膳の知識を活かして、相談に寄り添える薬剤師に
実は以前から和漢薬膳師の資格を持っていて、
これまでは趣味程度だったんですが、
調剤に戻ってから「もっと深めたい」と思うようになりました。
今後は、
• 漢方薬やOTCの相談に強くなる
• 漢方認定薬剤師の資格取得
• 体質改善や未病ケアに寄り添うアドバイス
“ちょっと相談したくなる薬剤師”を目指しています。
学校薬剤師にも挑戦して、地域の子どもたちの健康を守りたい
もうひとつ興味があるのが、学校薬剤師の仕事です。
昔は考えたこともなかったけど、
今は地域に関わる仕事として、すごく自然に思えるようになりました。
• 学校の環境衛生
• 薬物乱用防止の授業
• 健康教育のサポート
地味だけど、すごく意義のある仕事だなと感じています。
地域医療にも、少しずつ関わっていきたい
薬局に戻って感じたのが、「地域連携」の大切さ。
病院やクリニック、訪問看護や介護…。
全部つながって、患者さんの生活が支えられている。
だから私も、
• 医師との情報共有
• 地域の健康イベントへの参加
• 多職種カンファへの参加
そんな形で、チームの一員として関わっていけたらと思っています。
今の私は、無理せず“自分の軸”で働けています
年収は下がったけど、心の満足度は上がりました。
- 得意なこと(漢方)を活かせる
- 直接「ありがとう」と言われる
- 地域とつながりながら働ける
前みたいに、「出世しなきゃ」「昇給しなきゃ」と思わなくなった分、視野が広くなった感覚があります。
いまの私は、派手さはないけど、心地よい働き方ができています。
調剤薬局への転職って“後戻り”じゃない

調剤薬局って、企業キャリアから見ると“一歩後ろ”に見えるかもしれません。
でも、実際にやってみて思うのは、「前に進むための選択だった」ということ。
- 自分が本当にやりたいことに近づける
- 人として成長できる
- 誰かの役に立てている実感がある
この感覚は、企業で「安定」していたときには得られなかったものです。
心が疲れたら、一度立ち止まってみて

最後に、もしあなたが今、企業薬事で悩んでいるなら、それは「サボり」でも「逃げ」でもありません。
むしろ、自分の人生と向き合うチャンスです。
転職って怖い。収入が下がるかもしれないし、世間体も気になる。
でも、それでも「今のままでいいのか?」と感じているなら、一歩踏み出してみてもいいと思います。
私も悩んで、迷って、それでも行動してよかったと今は思っています。
今回のまとめ

今回のまとめです。
• 企業薬事を辞めた理由 → やりがいと実感の欠如
• 調剤薬局を選んだ理由 → 患者と向き合う仕事に戻りたかったから
• 年収は下がったけど、後悔はゼロ
• 調剤薬局は“戻る場所”ではなく、“進む選択”にもなる
あなたのキャリアは、あなたが決めていい。
必要なら、少し立ち止まってもいいんです。
その選択が、あなたの未来をラクにしてくれるかもしれません。
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わたしの経験が、少しでも誰かの背中を押せたらうれしいです。
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